好きなものだけ

インテリアを学ぶ大学生が建築にハマってしまった。見たときの写真や感じたことを記すブログ。

荻須記念美術館

好きな教授がおすすめしてくれた建物を見てきました。とにかく惚れ尽くしたので書き留めます。

 

目次

 

建物データ

設計:徳岡昌克、竹中工務店

施工:住友建設名古屋支店

掲載記事:

日経アーキテクチュア1983.10

新建築1983.10

建築文化1983.10

 

コンセプト

稲沢市出身の画家、荻須高徳の遺品を市が受け取り、それを元に氏の業績を讃え、また市民の芸術、文化振興に寄与することを目的として建てられたもの。

 

外観・外部空間

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正面入り口。バスを降りてすぐにみることのできる光景です。


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広場から建物を臨む。

 

広場に植えてあるのはほとんどが桜の木。筆者が訪れたのは4月の半ばを過ぎた頃だったので、ほとんど散ってしまっていた。

 

しかし今年は春になっても寒さ厳しい日が多く、桜が散るのは例年に比べれば遅い方だったと思う。

 

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散りかけの桜と、蜂。


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一本だけ独立した木と、建物を眺める。

 

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広場で休む人たち。

 

なんて人が似合う建物なんだろうか。

ベンチに座っていても、芝生の上で寝転がっていても、圧迫感を感じさせないヒューマンスケールな外部空間。

 

外観・外部空間②

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窓。
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ディテールにも着目。

窓の部分を縁取るように石材が使われており、下部は奥に深くとってある。隅角の部分が丸く加工されていたり、少し段差が付いていたりするのを見ると、建築部材としてではなく、座っていいもの、と自然に認識することができる。

 

外壁と内壁には同じタイルが使われており、調べてみると「炻器質タイル」のよう。表面がサラサラしたか感触で、壁に手を当てながら歩いても「いてっ」となることがない。

建物とタイルの相性がすごくいいなぁ。

タイルメーカーは志野陶石という会社のようだけど、調べてみると既に倒産しているよう。

 

内部空間

内部は撮影が禁止されてたので、スケッチにて解説。

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床から巾木分くらい立ち上がった場所に空調設備が埋められて、その上に気持ち程度の目隠しのように木がとりつけられている。

吹出気流が直接壁面に当たらないのと、木によって下に陰影が生み出されているのと、二重の効果を生んでいるのかも。

 

スタッフルームへと通じる扉の額も、額縁が3重くらいに取り付けられていて、

なんとなく、建物全体がまるで額縁のよう、とも感じた。

 

内部空間②

こちらも同様、写真もスケッチもないので文だけになります。

この建物、シークエンス的なものがすごく美しいと思う。

次の展示室へと足を向けると、次の部屋で何か起こるんじゃないか、みたいな高揚感が空間から感じられる。

サブオリエンテーションホールから交流ロビーをうかがう時、窓からの光と、その光にあたってできた椅子の影が、本当に美しかった。床のカーペットが、光、音、空気…言葉では伝えきれない、“いらないもの”を吸収してくれたからこそ、ここでの光景が美しく感じられたのだと思う。

 

こうして建物のすべての部屋を時間をかけて歩き回り、帰りまでの時間いっぱい、広場で悠々自適に過ごした。

荻須高徳画伯の作品もじっくり見たけど、すごく素敵だった。

ほとんどの絵がリトグラフで描かれている。

荻須画伯の描くリトグラフの絵はとても特徴的で、面ではなく、凹凸。

絵、というよりかは、まるで空間そのもののよう。

 

たてものエピソード①

最近。建物の用途とか、意味について考えるようになりました。結局、人に何を与えるんだろう?っていう。

本文の一部でも書いたけど、やっぱり建築やってる分にはディテール的な部分が気になることもある。

良い建築の、良い理由を探すために。

けど、実際その部分が気になるのは、作るという立場としての建築関係者とか、観る、って立場のよっぽどごく一部のマニアック層とかに限られると思う。

 

今回、荻須記念美術館の広場に集って思い思いに過ごしている人たちを見て思ったのは、べつにそんなディテールの部分なんて、ちっとも気にしてないこと。けど、確実に、何かその場にいる良さを感じて、その場にとどまってくれている、ということ。

わざわざ主張しなくても、建物の価値に人が気づいてくれて、使ってくれるようになる。

 

最近話題になった都城市民会館の解体の件について言及すると、結局あの建物にはそんな部分が欠けてたんじゃないか、って。

 

・素晴らしい建築は、残すべきである。

・残すべき、と判断される建物には、理由がある。

 

荻須記念館のあの広場の光景の中に、答えに近いものがあったと思う。

 

たてものエピソード②

最近ずっとスランプで、スケッチとかしばらくしてませんでした。

荻須記念館に訪れた時、描きたくてたまらない、という衝動に襲われて。

必死にホルダーを走らせて、見て、落とし込む、という作業をやったのだけど、なかなかうまく描けず。

とりあえず描いたスケッチを見てみると、あらまあひどい有様。「なんだこれ、実際他人が見て光景伝わるんだろうか、」という不安。

思えば、大学の授業とか資格試験通して絵とかパースの描き方とか色々習ってきたのに、それを生かそうともせず全部自己流でやろうとしてたかもしれない。

最近ようやく分かり始めた気がします。

自分が無茶ばっかりする人間で、全然素直じゃないってこと。

 

 

栄 中産連(ちゅうさんれん)ビル

栄駅から徒歩10分ほどにある、研修場所として主に使われる、中産連ビルを見てきました。

 

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設計は坂倉準三です。

 

 

以前、「名古屋渋ビル手帖」を読んでこのビルの存在を初めて知ったのですが、今回訪れる為に改めて調べたところ、設計が坂倉準三だったことをすっかり忘れていて。

今回、別件で栄まで用事があったのでついでに見てきました。

 

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出来町通りという出木杉くんみたいなネーミングの通りを通ってくると、左手に見えてきます。

窓が特徴的なファサードです

 

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遠目は緑っぽく見えるものの、近くで見ると様々な色の種類を使ったタイルで構成されていることがわかります


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よく見てみると、タイルの並びが縦になっているところが所々あります。

 

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上の部分、中心部分、下の部分が縦模様になっているようです。

 

外観もほどほどに中へ。

 

1階 エントランス

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奥には「永原歯科」という看板が見えるように歯医者が入っていたのですが、既に7月に閉業してしまっていたようでした。

右手にも「ボタンcafe」という喫茶店が入っていたのですが、休業していました。

施設の方に聞くと「以前はやっていたんですけど、しばらくはお休みするみたいで…」とのことで、休業は今日限りのことではないようです。

そのため、人がいるのは1階奥の事務所部分と、2階で講義か何かをやっていた所のみで、なんだか寂しい印象を受けました。

 

さて、この建物、外壁の他に何が素晴らしいかというと

階段です。

 

階段

 

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正面から
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前にせり出してくるようなデザインで、見ていると目が錯覚してきます。

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横から。

 

まさか、こんな方法で階段の形をくっきり示すことができるとは…。驚きでした。

 

 

 

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階段

奥はテーブルなどが置いてある休憩スペースです


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木製の触り心地の良い手すり

 

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手すり 断面

 

手すりには木製のものが使われていて、表面はとても艶やかで、触り心地はすべすべ。最高でした。

材はマホガニーほど高級なものは使ってないんだろうけど、チークとか…を使ってるのではないでしょうか…。

もしわかる方などいらっしゃいましたら教えていただけると幸いです

 

地下1階へ

建物は地下1階+地上4階建となっており、どこの階も会議室が4、5部屋ある、という感じです。

上も気になるところですがまずはこのまま地下へと降りてみます。

 

 

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見上げてみてももちろん美しい。

階段の踏面・蹴込み部分は外も緑とも言えない色が付けられているのですが、少し赤みを帯びた手すりと、階段本体の白っぽい色と見事にマッチしています。


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茶色のラインを入れているのがかっこいい

 

 

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地下の空間はなんだか薄暗い…。

一階の光で満ち溢れた空間とは対照的に、地下で使用しているものは暖色の間接照明のみ。

もう少し明るい雰囲気にしてもいいと思うのですが…

 

エレベーター
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エレベーター。


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三角のボタンが可愛い…!

 

乗った感想はまた後ほど。

この後はまた1階へ戻り、2階、3階…と上へ向かっていきます。

 

 

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2階に上がる時の写真

 

しかし不思議なのが、踊り場の壁に設けられている額縁には何も絵が入っていないこと。ああこれが芸術なのかなー(てきとう)

 

とりあえず、2階へ到着。

 

2階

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こちらも2階と同様、前面に窓がとられていて光が降り注いでいます。


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すべすべ〜


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階段の裏側

 

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横から。

 

錯覚効果は復活していて、 むしろ1階の時より光が近い位置にあるので陰影もより強調されている気がします。

 

 

階段を登って右手は自販機と休憩スペース、奥には大きそうな会議室。左手にはさらに空間が続いていて、いくつも部屋が入っているようでした。

 

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2階廊下

 

おお、外から見た時のあの窓の形が…!

Pタイルに反射して形が写り込んでいるのもなんだか素敵だなぁと思いました。

Pタイルは全部で7枚と3等分にしたくらいのものが一枚。てきとうですが、この空間の幅としては2400-2500程度かなと。

会議室を使うために大勢の人が出入りすることを見込んでの幅だと思うのですが、窓の寸法ともバランスのとれていて、広すぎず狭すぎない、ちょうど良い広さだなと感じます。

 

壁をよーく見ると、1mほどの高さのところで色が切り替えられています。ツートン仕様。

 

しかし、奥の窓から入る明るさに対し、室内の雰囲気がちょっと暗めな気もする。

 

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タイル

 

窓側に近づいて初めて気がついたのは、隣の新館との距離がまあまあ近いこと。

 

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        新館←                                     → 本館(今いる側)

外から見るとこんな感じ。

隣のビルの方がはるかに背が高いのにあれだけ光が入るものなのかと不思議に思ったものです。

隣の建物との高さの比較を撮るのを忘れていたのですが、一応冒頭で建物全体を写した時に後ろ側に写っているので確認はできます。

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2階の会議室では、集まり…かなにかが開かれていて写真を撮っていると中からぞろぞろと人が出てきたので足早に3階へと避難しました。

こういう時すごく奇妙に見られがちなのであれですね、気まずいです。

 

3階

3階の階段の仕様や平面としては2階とほぼ変わりないです。

しかし、3階フロアから4階フロアにかけての階段を撮っていたところ、階段の仕上げが変わっていることに気づきます。

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緑のカーペットのようなものが敷かれています


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3階まで階段を登って来ましたが、結局額縁には1枚も絵が入っていませんでした…。

階段は今までのタイルのものとは違い、カーペットが敷かれたような感じだったのですごく踏み心地が良かったです。今まで登ってきた分の疲れが取れた感じだったので、もしかするとこれを狙っていたのかも。

 

4階 

4階にあがってきたときに室の匂いが今までとはちょっと古臭い感じの匂いに変わります。あまり使われてない空間が発する匂いかなーと。

地元の、あまり人が出入りしない図書館と似たような匂いに感じたので、もしかするとこの匂いのもととなる建材とかがあるのかもしれないですね

 

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友人が写り込んでいる写真しかなかったのでモザイクが濃いです、すみません

 

4階は天井高まである大きな扉のついた会議室が一つと、写真の右手に何かの部屋が一つ、左手に女子トイレ男子トイレがそれぞれあるのみでした。

 

窓の向こうは庭園…(?)のような空間があって、非常時のみ立入れるという感じでした。

 

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壁の謎の出っ張り

 

4階部分のみ、壁からこの変わった出っ張りが出てきていました。

梁が出てきているだけなのかなと思ったのですが、少しアールも付いているので装飾目的につけたのかな、と思います…。夕方になったら西陽で上手いこと影になったりするのでしょうか…

 

さて、あらかた見終わったのでエレベーターで一気に下まで降りることに。

 

ポチッとなー。

 

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あっ赤いん、だね…。

押し心地は軽く「キュピッ」と言いそうな感じの深い押し心地のある気持ちいい感じ。

こういうのすごく好きで何回でもキュピキュピしたくなります。

友人もいたので衝動を抑えて乗り込みました。

 

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中は広がりを感じるような天井に。

 

チンという軽快な音とともに1階へ到着したことを知らせられます。

 

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よきエレベーターでした。

 

 

 

全体的に見て、窓が採光的な意味で役に立っているかというと微妙な感じだなという感想です…

あれだけ窓が入っていても廊下部分で窓が出てきたのはほんの一部のみ。ほとんどは室内側に窓が出てきているのだと思うのですが、部屋を閉め切っていてはほんの一部の窓と雰囲気薄暗い照明しかないので…。

しかも、室内側で窓が集中しているとすれば、パワーポイントなどを使った会議の時は、反射どころで、ほとんどカーテンを閉めきることになるのでは。しかも窓の数自体かなり多いから厚手とかになりそうだし。

 

この中に入っている会社の株式会社リーム中産連の設立が1969年だったので、おそらく施工もその頃だと思うのですが、パソコンを使うことなんてやっぱり想定していないわけで…。外から見た時もほぼ全面カーテンが締め切られていて、最初見たときに「あれ、これやってるの?」と感じたのもこれのせいかなと思います。

 

あとは照明。晴れた日は窓で補う分、曇りや雨の日、夜…など満足に陽が出てこない時もあるわけで。

そうした時に、普段晴れの日に窓だけで取っていた採光と同様に明るくすることのできる人工照明がないと、時によってすごく居心地の悪い建物、という印象に傾いてしまうのではと感じます

 

照明計画って大事だなーと思った建物の一つでした。

 

たてものエピソード

今回、あの錯覚を起こす階段を見て、やっぱり近代建築の階段巡りはやめられないな〜と改めて感じたものです。

前回は丸栄の階段を紹介しましたが、その時、たてものエピソードにて目黒庁舎の村野階段を夏に見にいく予定だと書いていました。

見にいったことには見にいったのですが、拙宅としては期待しすぎたのか、あまり魅力的に見えない階段でした。

ブログを書き悩んでいたのもこれが原因で、何度も下書きは書いていたのですがどう頑張ってもボロクソにしか書けないんです。目黒庁舎好きの方には申し訳ないのですが…。

 

やっぱり感じたのは、どれだけ階段単体にこだわったとしても場との調和がとれていないと美しさはないということ。

 

ショックであったのと同時に自分の中で建物に対する見方を変えて行かないとなと思った大切な建物でもあります。

 

やめられないなあ、建築。

 

 

名古屋 丸栄百貨店

丸栄百貨店が6月いっぱいで閉店すると聞いたので見てきました。

 

目次

 

建物紹介

名古屋市 栄 にある百貨店で、1943年から今年まで75年間営業されてきました。

 

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正面から。三角形の影が美しいですね

 

 

サカエチカとも直接繋がっており、比較的アクセスは良い方だと思います。

下調べした際は「行きにくい」と書いてあったので街から外れたところだと思っていました。

 

 

設計は村野藤吾さんです。

 

 

 

 

東郷青児 エレベーター 

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果物籠を持った女性と、ロングハットの女性が描かれたモダンな絵。

 

丸栄百貨店を語るに外せないものですね!

私が写真を撮りにきた時も年配のお客さんがどんどんきてエレベーターをバックに写真を撮っていました。

「なくなるなんて、寂しいねぇ」「昔から当たり前にあったけどもう見れなくなったらと思って急いで見に来たの!」なんて、店員さんと年配の方との会話も聞こえてきました。

 

デザインは東郷青児のものです。

丸栄東郷青児との関係性がよくわからず、調べてみたものの「当時の記録が残っていないので理由はわからない」とのこと。てっきり出身地かとも思っていたのですが、出身地は名古屋とは遠く離れた鹿児島。 うーん。(完結)

 

 

 

 

 

丸栄のあゆみパネル展

7階では「丸栄のあゆみパネル展」が開かれており、丸栄で使われた紙袋やモザイクアートで描かれた丸栄百貨店、本店の模型が展示されていました。

模型は店舗の奥まで見通せるくらいに細かく作られており、実際の店舗内と比較しながらじっくり観ていました。

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壁画も実際のものと忠実に作られています

 

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手前の青い球形をしたものは、クリスタル広場のオブジェみたいなやつでしょうか。

右下にちらっと見えていますが、地下鉄まで再現されているんですね。

 

 

きっと、模型を製作した方々も丸栄の閉店を惜しんでいるのでしょうね

 

 

 

 

さて、ここから下へ降りるようにして建物内を見ていきます。

 

階段

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曲がり部分の装飾が村野さんらしさを感じます。

 


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これはすごいですよ…!先程の装飾の部分が手すりの間から見えていますが、そのタテの位置がぴったり合っています。

上から覗き込むと、何だか階段に吸い込まれてしまいそうな変な感覚に襲われました。

 

 

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揃っているのはタテだけではなく、ヨコもきっちり。美しいですね…。

 

いやあ、なんて美しいんだ…。(2回目)

本当に、ずっと見下ろしていても飽きない光景でした。

 

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階段室 空間

 


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階段の断面は、段鼻が丸みを帯びたシンプルなもの。

 

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一応、下からも見上げて見ましたがまあこんな感じなので見下ろした時ほどの感動はなく…。

 

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というか、意外と施工雑なんですね…。

 

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大理石が使われています。

 

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梁が出てくるところでは端の部分に斜めの枠(?)がつくようになっていて、かっこいいです。

むき出しそのものにするのではなくこういった細かな装飾をつけるのも村野さんの建築の素敵なところだと思います。

 

 

じっくりと階段を楽しんだ後は、店内の様子も見てきました。

入ってるお店は

「いつの時代の服を売ってるんだ…?笑」と思わず思ってしまう店が多く、

バーゲン中でも何も買うこと無く店内をぐるぐるしていました。

 

そこで見つけたエスカレーターがヤバかった…。!!!

 

 

エスカレーター

 

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手すり下のガラスのところが光ってる…!!!

しかも丸みを帯びた面白い形。

これは“イイもの”に違いない…!

 


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見下ろしてみてもカッコいいです。

 

 

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裏側の写真。球型の照明と真っ直ぐに伸びて行くラインは近未来的なかっこよさがあります。

 

 

前に一度Twitterで流し見程度に見ていたのですが、実際見ると思わず「あっ」と言ってしまうほどにインパクトのあるエスカレーターでした。

 

ディズニーランドのアトラクションに向かう途中のエスカレーターにありそう(笑)

 

 

 

 

丸栄百貨店は6月30日に閉店し、これからは解体へと向かっていきます。

解体工事は9月から入り、夜間に工事を進め、完全な解体までに1年3ヶ月ほどの期間を見越しているそうです。

店内の様子はもう見ることはできませんが、壁画タイルだけでも解体までに足を運んでみてはいかがでしょうか。

 

 

ちなみに、壁画やエレベーターの扉絵に関しては、まだ可能性段階ではありますが保存の方向で考えているようです。

個人的にはエスカレーターも階段もなにもかも残して置いて欲しかったのですが、解体の理由に「震度6以上の地震に耐えられない恐れがある」という点もあるため、仕方がないのでしょう(T ^ T)

 

 

 

 

たてものエピソード

この記事を書く際に丸栄のことについても村野さんのことについても色々と調べていたのですが、

どうやら村野さんの設計では階段にこだわった建物が多いようです。

 

http://okolab.net/project/%e7%a0%94%e7%a9%b6%e3%83%86%e3%83%bc%e3%83%9e/%e5%bb%ba%e7%af%89%e3%81%ae%e8%a8%ad%e8%a8%88%e8%ab%96/6371/

こちらのサイトを拝見。

 

「私はかどがあるのがきらいなんです。私はもうどれでもみんなかどを取ってるんです。それで丸くする癖がありますね。

 

近代の科学や工業がもたらす精密さや、幾何学的な直線直角性といったものを、外壁面の表現においてできるだけ遠ざけ、それをもっと人の手や身体の痕跡を残したい、という村野が持ち続けてきた建築美学の実現

 

確かに、階段の段鼻の部分に丸みをつけている珍しいデザインからも、その癖が伺えますね。

 

階段って、本当にこだわりが見えるところだと思うんです。

私もある建物の階段を見たことをキッカケに、建物探訪をする際は必ず階段の断面を撮るようにしているのですが、

階段の表情は様々なんだなと本当にしみじみと思います。

荒々しくも力が溢れてくるような石段だったり、遠くから見ても明快に色分けされている繊細な美しさがあったり、螺旋階段でも少し円が歪んだものだったり…。

まだ実際の工事の際のエピソードなんて聞けていないのでわかりませんが、やっぱり設計者のこだわりとか、施工者の誇りみたいなものがあったのではないでしょうか。

いや〜、こういうのプロジェクトXみたいな感じでやってくれないかなほんと。

 

最近はこんな感じで階段を見るのにハマってきた感じです。ようやく自分の好きなものが定まってきたようで、物凄く楽しいです。

夏にひとり旅をしにいきますが、その際も村野さん設計の目黒庁舎に足を運んでみるつもりです。ルンルンですね。

旅から帰ってまたバイトしてお金が貯まったら、「動線の美学」も是非とも買って読みたいところです。

「刺激だけ」からの変化を求めて

今、自分がやっている“勉強”に物足りなさを感じた。

 

 

最近、ツイッターにて自身のあるツイートをきっかけに急激にフォロワー数が伸びた。

https://twitter.com/jw_7562/status/1018452971321942016?s=21

 

自分が気に入った光景で、自分が撮った写真が他の大勢の人に見てもらえた、良さが伝わった貴重な体験だった。

 

このアカウントで、いやツイッター自体で(プチ)バズりしたのは初めてだったし、いいねとRTっていう具体的な数で表されると色々と心が満たされるものがあった。

 

ツイートから1週間も経てば、いいねされることもなくいつもの静かな通知欄に戻ったのだけど、

明らかに変わったのは、TLに流れてくる情報と自身のツイートのいいねの数、そして

「おすすめユーザー」に出てくる人。

 

前までここに出てくる人たちは、

「大人で建築界のことを知り尽くしてる人」(私個人の勝手なイメージです)が多かったのだけど、なぜかプチバズり事件をきっかけに、

「同じくして建築を勉強している最中の大学生」のアカウントがたくさん表示されるように。

 

フォローまではしないけどいろんな人のツイートを見てみた結果、

・ストイックに勉強している人が多い

エスキスたくさんやってる

・作品に対して自分が思ったことを素直に言葉に表せている

・それらを熱く語れる場がある

単純すぎるけど…) と全体的に思った。

 

行動パターンも、 自分で知識を掴みに行って、やることもちゃんとこなして、足りないと思う部分に対しては自分より秀でている人に聞きに行く。更に、疑問に思うことに対して討論し合う。 という流れが全体的にあったと感じた。

やっぱり、大学生のやることってここまでやるのが当たり前だなぁと思ってしまった。

 

つまるところ、自分の今の現状がダサく思えてきた。知識を得ようとする行動力だけはあるが、その勉強で培った知識で今後どうするかという点に対しては全く考えていなかった。

 

 

もちろん、気になる建物を見に行って、調べるなりして好きなだけ知識を増やしていくのもいいことだと思うのだけど、知識を持っているだけでは正直なんの役にも立たない。

 

 

ある日、困った末に友人に相談してみると、かつて友人も同じような悩みを持っていたことを知った。

悩みを話してからは、今後の方針とか希望とかを長々話し合って、曖昧で結論が出ていないままでその日は終わった。しかし、次の日からは、いつもならスルーしてしまいそうな光景でも、

「あの友人ならこの状態をどう考えるだろう」と考えるようになって 物の見方とかそもそもの考え方が自分の中で変わっていた。

 

「「知識を持っているだけ」という不足感からの脱却法」を見つけ出した気がした。

 

人と共有すれば、「あ、私も似たようなの知ってる」とかでどんどん話題が広がって、

いずれは「自分の考え」という単体の情報ではなくなっている。

 

柔軟性を持つ、というのは自分自身の頭を柔らかくすることではなく、

他の人の持つ考えと自分の根本にある考えをうまく組み合わせて、それを形にできることではないかと思う。

 

 

人とか環境に頼ることで、自分の考えをコントロールできるようになれば、きっとすごく簡単に、想像もつかないくらい大きなものが出来上がるんじゃないかって思う。

とにかく今の平凡な状態から抜け出して次のステージへいきたい。

 

 

たてものエピソード

前回と同様、私情とか私生活とかと絡めた話です。編集ほとんどせずにフィーリングでダラダラ書いてる感じが強いので気が向いたら読んでくださいっていう程度です。

 

なんか毎回、まとめがすごく急になってしまってるんですよね。

よくない状態が起こった時に、自分の内面から他人や環境とかいろんなことを考えてしまって、もはやどれが一番の正解かっていうのが自分の中で整理がついてないことが多い。

最近、こういった類の悩みはただ単に自分の独りよがりから発生しているものかもって強く思うようになってきた。

結局のところ建築について勉強しているはずなのに、いつも最終的に見てるのは人生観とかそういうもので、自分は真剣に建築を勉強できているのかといつも不安になる。悪いことではないんだろうけど、あっちこっち行きすぎてるなあ…

西田幾多郎記念哲学館

西田幾多郎記念哲学館へ行って来ました。

 

石川県かほく市にある建物で、

かほく市出身の哲学者 西田幾多郎を称え、哲学を学べる施設として建築されました。

 

建物紹介

 

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写真の奥にあるのが本館、

手前にあるものが研究施設のための建物です。

 

 

本館の設計は、安藤忠雄さんの設計です。

元々は本館しかなかったのですが、近年西田氏の研究も進み、本館のみではおさまりきらなくなったため別棟としたそうです。

研究員の人以外はこちらの塔への立ち入りはできないようです。

 

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正面から見た写真

 

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階段庭園からの景色

 

建物は丘陵地の途中に建っており、その斜面を利用して階段庭園が作られています。

 

この日は石川にとっての快晴です。

空の下の方がくすんでいますが、これは山側の空気に水分が含まれていないためにそう見えます。

他県と見比べると「くすんだ」空かもしれないですけど、実際は明日もいい天気だと示す良いサインなんですよ。

 

 


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ホワイエ 正面
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天窓からの陽の光


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入り口から入ってすぐにあるホワイエは、下を見下ろせる空間になっています。

 

鈴木大拙館の中にある思索空間でもそうですが、哲学をテーマとした建物には囲われた空間というものが必ずある気がします。

己と向き合うという意味合いでそのようにしているのでしょうか。

 


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ホールの中心


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ホールとトイレの看板

 

この2枚目、安藤さんのスケッチそのものに感じます… すごく建築的で好きな空間です。

 

2枚とも撮る時の角度を変えただけで、場所は同じなのですが、影の濃さが全然違ってきますね。

 

 

ただ真っ直ぐに、歪みもない真四角に切り取られた形。

先に見えるものは、影か、光か────

 

 

 

 

2枚目の写真を見てわかる通り、ホールはその切り取られた部分が2つに分かれています。

出口の横にはトイレにつながる道と、ただの通路があってこれもまた彷徨います。

 

長い間ここの施設を利用していますが、いまだにどちらが女子側か男子側か覚えられません。

何度来ても楽しみがあって良い反面、

災害時に避難するときに迷いこんだらお終いだろうとも思っています。

 

 

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館内 図書室


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本棚と学び


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図書室の窓から本館を眺める

 

 

館内には図書室があります。

西田幾多郎氏の著書、善の研究を始め、哲学に関する様々な本が置かれています。

 

安藤さんがこの建物を竣工する際のエピソードなどが綴られた新聞記事なども置かれています。

 

建築を勉強している方も、そうでない方もぜひ図書室へ寄って、本を手に取り思索にふけってみてください。

 

今回は時間がなく、紹介する部分をかなり限定していますが他にも見どころは沢山あります。

全てを紹介するのも考察も追いつかないので今後書くこともないかと…(^_^;)

 

哲学は人によって変わって来る物だと思います。西田先生の教えを受け、自分はどう思うかを考えてみてください。

 

たてものエピソード

※ここからは私がこの建物を知ったきっかけや自分の考えを書いていくものとなります。

好き勝手書いていますが、あくまでも私個人の考えだと捉えていただければ幸いです。

 

 

拙宅、この建物と同じくかほく市出身のものです。

小学校の頃から放課後や土日、長期休暇など暇な日はほとんど訪れていて、来館回数は自分が一番多いのではないかと自負しております。

 

ホワイエの天窓から差し込む陽の光がコンクリートに当たっている光景に一目惚れして、休みの日に住み着くようになったのだと思います。

 

実際、“安藤忠雄さん設計の建築”だと認識したのは中学生になった時が初めてです。

 

コンクリート単体で見ると、「冷たい」「重い」などの印象が強かったですが、安藤さんの建物で使われるコンクリートはあたたかみのあるものだと認識するようになっていきました。

 

建物紹介にて、図書室を紹介しましたが

私が図書室を見つけたのはここに通うようになってから4年後でした。

実際扉はわかりにくいところにあるので子供の頃からの低身長ゆえ気づくのが遅れたのだと思います。

 

西田先生のお言葉で、「何度も行ったり来たりしてさまよい続ければ答えが見つかる」という教えがありましたが、(記憶が曖昧なので間違っていたら申し訳ないです)

この建物の配置はまさにそれの体現ではないかと考えています。

 

 

この建物と哲学との関連性、そして自分と照らし合わせて答えを探している途中ですが

見慣れた、ありふれた日常でも視点を変えて見てみれば違う面が見えて来ること、その発見こそに意義があるのではないかと思っています。

 

明日起こる全てのことは、その視点によって良い悪いが変わって来るもの。

 

大学でたくさんの人に知り合える分、たくさんの視点を知り、取り入れ、いずれ自分の視点を確立できればと思います。

 

 

 

 

自己紹介より

はじめまして。

普段は大学でインテリアを勉強しながら趣味で建物を見て歩く学生をしています。

 

このブログでは気になった建物についてちょこちょことメモしていったり、写真とともに魅力的な建物を紹介できるブログになればと思っています。

前に一度別のブログを書いていたことがあるのですが、そちらは書く時に文章を考えて続けるのが酷になってしまったので、

今回のブログではとにかく書くということを意識しようと思います。

わかりにくい文などはコメント欄で教えていただければすぐに直します。

簡潔に物事を書くことに慣れていない大学生ですが、温かい目で見ていただければ幸いです。