西田幾多郎記念哲学館
西田幾多郎記念哲学館へ行って来ました。
石川県かほく市にある建物で、
かほく市出身の哲学者 西田幾多郎を称え、哲学を学べる施設として建築されました。
建物紹介
写真の奥にあるのが本館、
手前にあるものが研究施設のための建物です。
本館の設計は、安藤忠雄さんの設計です。
元々は本館しかなかったのですが、近年西田氏の研究も進み、本館のみではおさまりきらなくなったため別棟としたそうです。
研究員の人以外はこちらの塔への立ち入りはできないようです。
正面から見た写真
階段庭園からの景色
建物は丘陵地の途中に建っており、その斜面を利用して階段庭園が作られています。
この日は石川にとっての快晴です。
空の下の方がくすんでいますが、これは山側の空気に水分が含まれていないためにそう見えます。
他県と見比べると「くすんだ」空かもしれないですけど、実際は明日もいい天気だと示す良いサインなんですよ。
ホワイエ 正面
天窓からの陽の光
入り口から入ってすぐにあるホワイエは、下を見下ろせる空間になっています。
鈴木大拙館の中にある思索空間でもそうですが、哲学をテーマとした建物には囲われた空間というものが必ずある気がします。
己と向き合うという意味合いでそのようにしているのでしょうか。
ホールの中心
ホールとトイレの看板
この2枚目、安藤さんのスケッチそのものに感じます… すごく建築的で好きな空間です。
2枚とも撮る時の角度を変えただけで、場所は同じなのですが、影の濃さが全然違ってきますね。
ただ真っ直ぐに、歪みもない真四角に切り取られた形。
先に見えるものは、影か、光か────
2枚目の写真を見てわかる通り、ホールはその切り取られた部分が2つに分かれています。
出口の横にはトイレにつながる道と、ただの通路があってこれもまた彷徨います。
長い間ここの施設を利用していますが、いまだにどちらが女子側か男子側か覚えられません。
何度来ても楽しみがあって良い反面、
災害時に避難するときに迷いこんだらお終いだろうとも思っています。
館内 図書室
本棚と学び
図書室の窓から本館を眺める
館内には図書室があります。
西田幾多郎氏の著書、善の研究を始め、哲学に関する様々な本が置かれています。
安藤さんがこの建物を竣工する際のエピソードなどが綴られた新聞記事なども置かれています。
建築を勉強している方も、そうでない方もぜひ図書室へ寄って、本を手に取り思索にふけってみてください。
今回は時間がなく、紹介する部分をかなり限定していますが他にも見どころは沢山あります。
全てを紹介するのも考察も追いつかないので今後書くこともないかと…(^_^;)
哲学は人によって変わって来る物だと思います。西田先生の教えを受け、自分はどう思うかを考えてみてください。
たてものエピソード
※ここからは私がこの建物を知ったきっかけや自分の考えを書いていくものとなります。
好き勝手書いていますが、あくまでも私個人の考えだと捉えていただければ幸いです。
拙宅、この建物と同じくかほく市出身のものです。
小学校の頃から放課後や土日、長期休暇など暇な日はほとんど訪れていて、来館回数は自分が一番多いのではないかと自負しております。
ホワイエの天窓から差し込む陽の光がコンクリートに当たっている光景に一目惚れして、休みの日に住み着くようになったのだと思います。
実際、“安藤忠雄さん設計の建築”だと認識したのは中学生になった時が初めてです。
コンクリート単体で見ると、「冷たい」「重い」などの印象が強かったですが、安藤さんの建物で使われるコンクリートはあたたかみのあるものだと認識するようになっていきました。
建物紹介にて、図書室を紹介しましたが
私が図書室を見つけたのはここに通うようになってから4年後でした。
実際扉はわかりにくいところにあるので子供の頃からの低身長ゆえ気づくのが遅れたのだと思います。
西田先生のお言葉で、「何度も行ったり来たりしてさまよい続ければ答えが見つかる」という教えがありましたが、(記憶が曖昧なので間違っていたら申し訳ないです)
この建物の配置はまさにそれの体現ではないかと考えています。
この建物と哲学との関連性、そして自分と照らし合わせて答えを探している途中ですが
見慣れた、ありふれた日常でも視点を変えて見てみれば違う面が見えて来ること、その発見こそに意義があるのではないかと思っています。
明日起こる全てのことは、その視点によって良い悪いが変わって来るもの。
大学でたくさんの人に知り合える分、たくさんの視点を知り、取り入れ、いずれ自分の視点を確立できればと思います。